Researcher3
政策研究事業本部 東京本部
社会政策部 副主任研究員
永野 恵
教育現場のリサーチを通じ、
地域と子どもたちの
未来に貢献したい。
経歴
2017年入社。大学院で社会教育・生涯学習の研究室に所属。地域政策や教育政策に取り組む部署があることに惹かれ、MURC※を志望する。入社後はさまざまな分野のプロジェクトに関わりながら、教育ドメインの開拓をリードする先輩のもと、「学校と地域の協働」「不登校支援」「子どもの居場所づくり」等の分野の案件に参画。3年目からは徐々にプロジェクトリーダーを担うようになる。2023年より副主任研究員として従事。
私の信念
解決策を提案するときに、その内容が関係者にとってWin-Winの関係になっているかを考えるようにしています。「学校と地域との協働」を例に出しますと、「学校と地域、どちらか片方にのみメリットのある状態ではないか」「本当に持続可能なあり方か」等を問うことを忘れないようにしています。近年は教職員の負担増が課題となっていますので、子どもを支える方々の存在がないがしろにされないよう、気をつけたいと考えています。
私の仕事
私の所属する社会政策部では、教育・子ども子育て、雇用・労働、地域共生、ダイバーシティ・ライフデザイン等の分野で、調査研究や政策提言を行っています。その中で、私は主に教育分野の調査研究に従事しています。
たとえば「社会に開かれた教育課程」の実現に向け、地域資源・課題を生かした授業づくりの好事例や課題、学校と地域とをつなぐコーディネーターのあり方等について調査を行っています。他にも「不登校児童生徒の支援のために、どのような学校づくりや地域とのネットワークづくりが行えるか」「貧困等何らかの困難を抱える子どもに必要な支援や居場所のあり方」等のテーマにも取り組んでいます。教育・子どもに関する調査研究における一番のミッションは、子どもにとって心地よい教育・学校環境を考えることだと考えています。学校をはじめとする教育現場の中で息苦しさを感じる子どもが少しでも減り、彼らの将来への見通しを広げることにつながるような調査研究に関わりたいという思いで取り組んでいます。
案件は文部科学省等の省庁、各自治体の教育委員会等から委託されたものが中心です。受注後はアンケート調査、ヒアリング調査、文献調査、統計分析、現地視察、モデル校での実証、有識者委員会等さまざまな手法を組み合わせた調査研究を実施。成果物としては報告書が一般的ですが、法律や計画を作ったり、リーフレットや動画、Webサイト等での発信が行われたりすることもあります。
私自身地方の出身で、もともと地域の存続・活性化について強い関心を抱いていました。大学院ではフィールドワークも含めて社会教育・生涯学習についての研究に従事。こうした経験から、地域と教育について深く関われる現在の業務には、大きなやりがいを感じています。この領域にはアプローチすべき課題はまだまだあると感じており、より広い視野で学校・教育現場と向き合っていきたいと考えています。
手がけたプロジェクトの一部
地域と学校の新たな協働体制の
構築のための実証研究
(文部科学省)
不登校特例校の設置に向けた
可能性調査業務委託
(川崎市)
市立高等学校・専門学校
改革基本計画(仮称)
策定支援業務委託
(熊本市)
子どもの居場所事業に係る
政策提言におけるコンサルティング及び
アドボカシー活動業務委託
(日本財団)
仕事の醍醐味
総合シンクタンクである当社には、さまざまな専門性を持つ研究員が所属しており、それぞれの知見の組み合わせにより、多様化・複雑化している社会課題やクライアントニーズに対する解決策等を提案しています。教育分野の調査研究であっても、たとえば「学校安全(事故防止、登下校の安全確保)」のテーマであれば防犯・防災を専門とする研究員と協働を行い、新たな学校設置に向けた計画策定を行うような業務であれば、我々教育メンバーと施設管理・PFIを専門とするメンバーで協働することができます。さらには社内学会という自主研究の取り組みもあり、私も4つの学会に所属しています。部署の垣根を越えた研究員との交流を通じて、自らの知見を高めることに役立てています。このように多様な分野の専門性を持つ研究員と議論し、社会をよくするための方策を生み出していくことは、研究員としての大きなやりがいです。
5年後の私
近年、大学での非常勤講師として講義を行う機会もあり、学生に伝えるという行為や学生からの反応は、自分の問題意識を改めて確認する機会になっています。先輩研究員の中にも、仕事と並行して大学院に通っていたり、NPOで活動していたりする方がいらっしゃいます。さらには雑誌に寄稿したり、メディアの取材を受けたりといった機会もあります。そういった社外での活動や一般に向けて情報発信を行う経験で得る気づきや視点というのは、思った以上に調査研究にも生かされるものだと感じています。自分も複数のフィールドを持ち、そこでの経験を会社に還元しながら、将来も楽しんで仕事ができていたらと思います。
心に残るエピソード
私も開発に携わった「CSポートフォリオ」の研修会において、ポートフォリオを用いた対話によって学校の課題が発見され、「今後このように改善していきたい。よい気づきが得られた」という声をいただいたことがありました。自分たちの取り組みが、実際に学校現場で活用されて役に立っていることを目の当たりにでき、嬉しく感じたのを覚えています。
調査研究の結果というのは、すぐに実際の教育現場の制度・仕組みに反映されるものばかりではなく、現場に落ちていくまでに時間がかかる場合もあります。それだけに現場においてこのような手応えが得られたことは嬉しく、大きな一歩を刻めたと感じました。これからも5年後、10年後といった未来も見据え、長期的な視野で取り組んでいきたいと思います。