Project2
持続可能なバイオマスエネルギー利用の

実現に向けて多様な専門性を持つ

研究員の協働で最大限の力を発揮
Keyword
再生可能エネルギー | バイオマスエネルギー | 
専門性を持つ研究員のチームワーク
Kei Takahashi
政策研究事業本部 東京本部
産業創発部 主任研究員
高橋 渓Kei Takahashi
政策研究事業本部 東京本部
地球環境部 主任研究員
淺田 陽子

日本では再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)が開始されたことによって、バイオマス発電の計画が急増しているが、バイオマス利用を進めるにあたっては、食料価格の高騰や森林破壊を招かないように、持続可能な利用を推進していくことが重要。
この「持続可能なバイオマスエネルギー利用」の実現に向けて奮闘する調査研究チーム(リーダー:高橋、メンバー:淺田、他1名)のストーリーを紹介します。

持続可能な
バイオマスエネルギー利用に関する
ルール策定に貢献
日本では2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)が開始されたことによって、バイオマス発電の計画が急増しています。バイオマスについては、その利用をうまく進めれば、温室効果ガスの削減やエネルギーセキュリティの向上、農林業の振興等に貢献できますが、その利用を無秩序に進めてしまうと、食料価格の高騰や森林破壊を引き起こすほか、エネルギー利用までの過程(栽培・生産・輸送工程等)で温室効果ガスが排出され、結果的に温室効果ガスの削減につながらない可能性もあります。
当社は、経済産業省から委託を受けて、こうした問題を引き起こさないようにするため、持続可能なバイオマスエネルギー利用をどのように進めていけば良いかを調査・分析し、国によるルールの検討・策定に貢献しました。持続可能なバイオマスエネルギー利用に関しては、2017年頃から経済産業省のFIT制度に関連する委員会で本格的に議論が開始され、当社の調査結果はこの委員会で活用されています。特に、当社で整理した海外における制度内容やバイオマスごとの特徴は、日本での方向性を検討するうえでの重要な資料になっています。また、この委員会以外でも、国内外の文献調査や、バイオマスに関する各ステークホルダーに対するヒアリング調査によって収集した情報は、国が今後の方向性を検討する際に活用されています。
多様な専門性を持つ
研究員の協働で、
綿密な調査が可能に
今回のプロジェクトでは、当社の特徴である一人ひとりの研究員の専門性と、それらを組み合わせたチームワークを発揮することで、大きな成果を生み出すことができました。
バイオマスエネルギー利用という分野は、エネルギー利用の観点ではエネルギーに関する専門性を必要とし、燃料供給の観点では、農業、林業、土地利用に関する専門性を必要とします。そのようなテーマに対して、エネルギー政策を専門とするリーダーの高橋と、農業・森林政策や温暖化対策を専門とするメンバーの淺田らがひとつのチームで協働することで、バイオマスエネルギー利用に関する複雑で幅広い論点について、綿密な調査をすることを可能にしました。
プロジェクトを進めるうえでは、一人ひとりが自分自身の専門性を発揮できるように各自が担当するパートごとに個人の裁量に任せつつ、要所要所でチーム全体で議論しながら進めることを心がけました。これにより、チームとして最大限の成果を上げることができたと考えています。
当社の政策研究事業本部では、研究員一人ひとりが自分自身の将来像や社会のニーズを考えながら、キャリアプランを立てていく仕組みを採用しているため、必然的に多種多様な専門性を持つ研究員が多く在席しています。本プロジェクトを通して、そうした尖った人材が最大限に力を発揮できるチーム形成とプロジェクトの進め方について学ぶことができたと考えています。