キャリアの軌跡
政策研究事業本部 東京本部 社会政策部
主任研究員/2015年入社/教育学研究科 修了
専門領域:労働政策・社会福祉政策・保育政策
新卒で入社以降、労働政策(ダイバーシティ、働き方改革等)及び社会福祉政策(子ども・子育て支援、介護等)に関する幅広い調査研究に従事。入社7年目に産休・育休を取得。現在は主任研究員として保育政策を中心に複数のプロジェクトのリーダーを務めている。
入社理由
地方と都市部の教育格差、特に女子学生の進学機会の差に疑問を抱き、大学・大学院で教育社会学を専攻。幅広い視点で地域やジェンダーの課題に対し、大学で学んだ調査手法を活かして取り組みたいと考え、シンクタンクを志望する。MURC(*)が女性活躍・ダイバーシティ分野の案件に強みを持っていたことと、政策研究本部の分野別採用に魅力を感じ入社を決意。
*MURC…三菱UFJリサーチ&コンサルティング(以下同様)準研究員
女性活躍推進法に関する委託業務にも参加
MURCの社内制度である戦略投資制度を活用して「がん治療と仕事の両立に関する調査」の主担当を経験。それまでは教育分野を中心に学んでいたため手探りでの調査となったが、先輩研究員から多くの助言をもらい充実した調査を実施することができた。メディアからも取材を受ける等貴重な経験となった。
また、同じく1年目に、省庁からの委託による女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)の企業向けマニュアルを作成する案件に参画。法律案の審議と並行しながら内容を作り込んでいくプロセスを目の当たりにできたことで、シンクタンクの業務の面白さを感じることができた。
この時期の主なアウトプット
- がん治療と仕事の両立に関する調査
- 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画策定支援マニュアル
研究員
子育て支援の案件に関わるなかで芽生えた問題意識
プロジェクトの補佐(サブPL)としてプロジェクト管理を担当するようになり、業務で担う役割も徐々に大きくなる。これまで企業における女性活躍に関する取り組みを支援する案件が多かったが、働き方だけでなく福祉側の支援も重要との思いが強くなり、子育て支援の案件に多く関わり始めたのもこの頃。
そうしたなかで、「一時預かり事業の運営状況等に関する調査研究」のサブPLを担当。年度後半スタートの事業で、スケジュール面・調査の内容面いずれも困難なものであったが、最終的にクライアントから一定の評価を得ることができた。さらに、調査結果を見た子育て支援団体の目にとまり「この結果は重要なのでぜひ広めるべき」と、一時預かりをテーマとしたシンポジウムを開催いただき自信につながった。
また調査を通じ、保育に求められる専門性の高さの一方で処遇の低さに悩む事業者の方々の姿を目の当たりにしたことが、現在につながる問題意識の原点にもなった。
この時期の主なアウトプット
- 一時預かり事業の運営状況等に関する調査研究
- 地域子育て支援拠点の利用状況等に応じた職員配置と収支状況
- 保育所等における外国籍等の子ども・保護者への対応に関する調査研究
副主任研究員
保育に関する調査研究でプロジェクトリーダーに
7年目に副主任研究員に昇格したタイミングで、産休・育休を取得し、翌年に復職。それまでは興味の赴くままに仕事を広げてしまいがちだったが、時間制約のなかで働くためには案件数を絞らざるを得ず、自分の追求したいテーマは何かを考える良い機会となった。
そうしたなか、復職2年目に「保育所等における低年齢児の保育の保育内容及び実践・運営状況に関する調査研究」のプロジェクトでリーダーを務めることに。保育内容そのものに関するテーマは初めてで、アンケート設計や事例集のまとめ方で苦労したが、現場の保育士の方々が、それぞれ多様な工夫をしながら子どもたちに対して真摯に向き合っている様子を見て、こうした実践を支えるために必要な労働環境やキャリア支援とは何か、という関心がより深まった。
また、仕事と育児を両立しながらプロジェクトマネジメントを行うことは想像以上に大変ではあったものの、周囲のサポートもあり、なんとか乗り越えることができた。
この時期の主なアウトプット
- 保育所等における低年齢児の保育の保育内容及び実践・運営状況に関する調査研究
- 病児保育事業の運営状況及び地域支援の取組に関する調査研究
主任研究員
ドメインリーダーとして若手メンバーを育成
復職から3年目のタイミングで、主任研究員に昇格。この年には「保育人材確保にむけた効果的な取組手法等に関する調査研究」のプロジェクトでリーダーを担当。これまでの調査研究を通じて問題関心を強く抱くようになった保育士の労働環境の問題について、全国的なアンケートとヒアリングを実施し、自治体や保育所等が抱える課題や工夫を明らかにすることができた。
並行して、会社の戦略投資制度の支援を受けて保育士の働き方に関する独自調査も実施。これまでの案件で培った女性活躍や働き方改革の視点も入れ込んだ調査を設計した。現在分析中であり、興味深い結果がいくつか見られているため、早く公開できるよう執筆を頑張りたい。また、11年目となる今年からは、社内の教育・子ども分野に関するドメインリーダーという役割も担うこととなり、若手メンバーの採用や育成についてもより責任を感じている。
この時期の主なアウトプット
- 保育人材確保にむけた効果的な取組手法等に関する調査研究
- 保育士の働き方及びキャリア形成支援と保育の質の関連についての調査
今後の展望
より良い保育のための環境づくりに貢献したい
保育士の労働環境を改善することは、子どものウェルビーイング・女性活躍の両面から重要な課題であるため、保育士の働き方やキャリア支援・養成のあり方に関しては、今後も追及していきたい。MURCには、介護・教育における人材確保等、他分野において類似するテーマを扱っている研究員も多く、分野間の連携も深めていきたいと考えている。人口減少のなか、保育政策にはさまざまな課題が山積しているが、子どもたちにより良い保育を提供できる環境づくりに貢献できるよう取り組んでいきたい。