Project2
地域経済の活性化を目的とした

ベンチャー企業へのハンズオン支援

シンクタンクの新たなる可能性
Keyword
ハンズオン支援業務 | 地域経済の活性化 | 
産学共同研究プロジェクト
政策研究事業本部 
東京本部
公共経営・地域政策部
副主任研究員
中田 雄介

先端技術を活かし地域経済の活性化や地域産業の裾野拡大を図りたい官公庁がクライアントとなり、地域を牽引することが期待されるベンチャー企業に対するハンズオン(※)支援を行った研究員の中田。
この先端技術の社会実装に関するプロジェクトで得た知見やネットワークをもとに、シンクタンクにおける新たな社会調査の方法論の構築に向けた挑戦は続く。

※ハンズオン…企業の経営に深く関わること

官公庁・民間企業・
地域社会をつなぐ
シンクタンクとしての役割とは
地域経済の活性化や、地域を牽引していくことが期待される企業の成長支援を目的とした官公庁事業の一環として、当社はモバイル関連データの取得・解析に強みを有するスタートアップ企業に対し、ハンズオン支援業務を行いました。私はこのプロジェクト案件のプロジェクトリーダーとして、スタートアップが手がける現業とは別の、同社の強みを活かした新しい事業について検討をしていました。そして、市場拡大が見込まれる「インバウンド観光」をターゲット領域のひとつに定め、空港を利用する訪日外国人観光客の協力を得た実証実験を実施する等、新事業の企画・実証(POC)に対する支援を行いました。また、新たな事業を通じた域内企業との連携の可能性や、地域経済の活性化への寄与等についても、ともに検討を実施しました。
一般的に、官公庁をクライアントとする受託業務は、社会課題の解決に向けた方策を明らかにすること等を目的としています。かつては国・地方自治体が中心となり社会課題の解決に向けた取り組みが企画・実施されてきましたが、昨今、民間企業がその一翼を担うケースは増加しています。こうした中で、当社のシンクタンク部門では、官公庁をクライアントとする場合も、さまざまなステークホルダーと連携し、その力を借りて社会的な事象に対しともに取り組みを進めています。
また、官公庁の中でも地方自治体からの受託業務が多い私の所属する公共経営・地域政策部は、社内でも最も「生活者」に近いフィールドで業務に取り組む部署です。近年、AI/IoT/ロボティクスの導入検討が各所で進められており、当部でも先端技術と生活地域の橋渡しを行う社会実装の支援業務を手がける等、“地域社会を下支えする業務”の範囲は多岐にわたります。
冒頭に紹介したハンズオン支援業務は、皆さんがイメージする官公庁向け調査業務を担うシンクタンク像とは異なるかもしれませんが、“技術的な強みを有する企業との連携を通じて、地域の活性化をめざす取り組み”と読み替えると、さまざまなステークホルダーと協力し、社会課題の解決や社会の活力創出に取り組むシンクタンクの姿を感じてもらえるのではないでしょうか。
受託案件で得た知見や
ネットワークを通じて、
産学連携プロジェクトそして
社内の戦略投資プロジェクトへ
官公庁事業の多くは年度単位で執行されるため、先に挙げた官公庁事業の一環として実施したスタートアップ企業に対するハンズオン支援業務も年度末をもって一区切りとなりました。しかし、「人々の行動や社会の実態を客観的かつ効率的に把握する」という点において、データの取得・解析に強みを有し、独自のデータを大量に保有する同スタートアップ企業とは、今後の連携可能性が大いにあるのではないかと考えました。そして、同社が有するデータに関心を示していただいた大学研究者とともに、モバイル端末の利用ログデータを用いた自主研究プロジェクトをスタートしました。
また、産学連携の自主研究プロジェクトを進める傍ら、2019年度からは社内の戦略投資プロジェクトという位置づけで、被験者・協力者の記憶や協力姿勢に依らない新たな社会調査の方法論に関する可能性の検討、具体化の模索を進めています。
このように、シンクタンク部門では受託業務を契機に得たネットワークや知見をその後もあたため、大学等の社外の研究機関との共同研究プロジェクトとして、継続的に取り組むケースもあります。
今回、社会課題の解決・活力の創出に向けた取り組みを行う機関としてのシンクタンク像と、学問的知識や方法論の探求を行うシンクタンク像を紹介しました。皆さんが想像する官公庁向けの調査業務・政策提言だけでなく、シンクタンクの研究員にはさまざまな活動・取り組みの可能性があることを知っていただけたら嬉しいです。